最近の医療の状況について、二つのトレンドがあります。
- 入院日数が短くなってきている
- 入院の自己負担額が高くなってきている
今回はこの二つについて解説していきます。
知っておくと、万が一自分が入院したときにどうすれば支払いを少なくできるかにつながってきますので、最後まで見てくださいね。
入院日数の短期化
まず、医療の現状として入院日数は年々短期化の傾向にあります。
平成14年では、平均在院日数は37.5日でしたが、平成29年には28.2日まで減少しております。15年の間に9.3日も少なくなってきております。
また、入院日数が長くなりがちな「療養」「精神」「結核」等の病床を除いた「一般病床」だけに限ると、平成14年では22.2日ですが、平成29年では16.2日となり、15年で6.0日も短縮されております。
これは医学の進歩が大きく、入院ではなく通院での治療の割合が大きくなってきているのです。
厚生労働省の平成26年の「患者調査」では、入院日数分布は、7日以内は45%、14日以内は66.1%となっております。
約二人に一人は1週間以内、三人に二人は2週間以内に退院していることになります。
入院日数短期化の理由は医学の進歩
入院日数短期化の大きな理由は、医療技術の進歩です。
内視鏡手術や腹腔鏡手術など、開腹手術にくらべ体の負担が少ない新しい技法が確立したため回復も早くなりました。それに伴い日帰り手術や一泊手術も当たり前になってきています。
入院日数を短期化する政府の政策
二つ目の理由としては、政府による医療費適正化政策です。政府の政策が入院日数を短くする方向にあるのです。
若者にくらべどうしても高齢者の方が入院や治療を必要としますので、高齢化が進む中、全体の入院者数が増加していくことは自然なことです。2000年代に入って政府は成人病の予防とともに入院日数の短期化が計画の柱とされてきました。
都道府県間の入院日数の差に注目した施策を行ったり、大病院と中小病院の機能分化を進めたり、入院日数を少なくするほうが病院にとって有利になるようにしてきました。
入院日数の短期化は今後も続いていく
入院日数の短期化は今後も続いていく傾向にあります。患者の立場からすると完全に治ったと感じることができない状態での退院はすこし心配が残るかもしれませんね。
ただ、入院の短期化に伴い、入院時の自己負担額が増加していく傾向もあります。
入院時自己負担額の増加
入院の短期化が傾向としてあるなか入院時の自己負担費用は高額になってきております。
1~2週間以内の入院時自己負担費用は、
- 10万円未満:19.0%
- 10万円~20万円未満:45.0%
- 20万円以上:36.0%
となっており、約8割の方は入院時自己負担費用が10万円以上が必要となり、平均の費用は23.6万円となっております。
ただ、公的医療保険において私たちの医療費の自己負担は少なく済むようになっています。それが、「医療費の自己負担割合の上限」と「高額療養費制度」です。
医療費の自己負担割合の上限
「医療費の負担は3割」というのはきいたことはあると思います。
基本的に一般の方(未就学児や高齢者を除いた人)はかかった医療費のうち3割のみの負担で良いことになっています。
例えば、医療費が10,000円かかった場合、実際に患者が支払うのは3,000円で済みます。残りの7,000円は、公的医療保険から病院に支払うのです。
こういったことがあるので、毎月の公的保険は必要なんですね。
高額療養費制度
高額療養費制度というのは、自己負担割合の上限とは別に、「1ヶ月のうち自己負担する医療費の上限がある」という制度です。
70歳未満の一般の方であれば、「80,100円+(かかった医療費の10割相当-267,000円)×1%」が「自己負担する医療費の上限額」です。
これを越えて支払った場合、超えた部分は払い戻されます。
自己負担が必要な費用
ただし、すべての費用が「医療費の自己負担割合の上限」と「高額療養費制度」でまかなうことができるわけではありません。
入院してもしなくても必要な食事や光熱費はこの二つの制度の対象とはならず、実費が必要になるのです。
食事代は1食460円、居住費は1日当たり370円が必要です。また、入院に伴って部屋着やスリッパを新しく用意することもあるかもしれません。病院へいくまでにタクシーを使うかもしれません。お見舞いに来てくれた人へお返しをするかもしれません。
いわゆる「雑費」がとても大きいものになってしまう可能性も大きいのです。
医療の現状のまとめ
簡単に解説してきましたが、今回解説してきた医療の現状は二つです。
- 入院日数が短くなってきている
- 入院の自己負担額が高くなってきている
入院日数は短くなってきていますが、入院の自己負担額は高くなってきています。
公的医療保険制度「医療費の自己負担割合の上限」と「高額療養費制度」がありますが、それでも自己負担がゼロになるわけではありません。
そこで、自己負担を減らしたい・ゼロにしたい、という人は医療保険やガン保険といった私的医療保険に加入をしています。
月々の支払いはありますが、それでも万が一のときには保険会社が費用を負担してくれます。
公的医療保険と私的医療保険をうまく使っていくことが自己負担を減らしていくコツですね。
医療の現状を踏まえて保険を選ぶ
保険は、いざというときに自己負担を極力出さないためのものです。
そのため、これまでにご説明した医療の現状を踏まえた保険を選ぶことがよいでしょう。
医療の現状で、お金に関わることは、「医療費の自己負担割合の上限がある」ことです。この医療費の自己負担の上限分を保険で賄うことができれば良いわけです。
その上限分と自分の予算と相談しながら、オプションをどうするかを考えていけばよいでしょう。
保険は、保険会社がとてもたくさんあり、その分保険のプランもたくさんあります。さらに保険用語や仕組みなど、本当に知識が必要なものです。「よく分からない」と感じた人は素直に専門家に相談したほうがよいでしょう。
日経BPコンサルティングによる「保険相談サービスに関する調査」で主要3部門を含め、11項目で1位を獲得していますので、安心し相談できますよ。
不安に思っている方は一度相談してみてください!
保険の加入を考えている人や今の契約を見直そうとしている人は参考にしてみてください。
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