日本と世界の生命保険の歴史を解説

保険

今では生命保険は、世帯加入率は約9割(88.7%)となっているくらいに私たちの生活の中では当たり前になってきています。

ここまで当たり前になってきた生命保険は、今まではどのような歴史を持っているのでしょうか。ここでは生命保険の歴史についてご説明していきます。皆さんの知っている意外な人が日本で生命保険を紹介しています。

日本の生命保険の歴史

日本の生命保険の発端は福沢諭吉

人間は昔から集団生活の中で、危険にあったり不幸になったりした人たちをお互いに助け合って生活をしてきました。しかし、産業が発達したり社会的な分業が行われたり家族の構成単位が小さくなってきたりすると、一家の柱が死亡したり動くことができなくなったりすると、残された家族への影響はとても大きくなってきます。

そこで、相互扶助の理念によって助け合う生命保険の仕組みが出来ました。

日本では、1867年(慶應3年)に福沢諭吉が欧米の近代的保険制度を紹介したことが発端となって、明治時代になってから生命保険会社が設立されました。

福沢諭吉とはどんな人物?

幕末・明治時代の啓蒙思想家で教育者です。一万円札の肖像の人で、慶應義塾大学の創設者であり、『学問のすゝめ』では「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」と説いています。

日本で初めての生命保険会社は明治生命

1881年(明治14年)に、福沢諭吉の門下生であった阿部泰蔵によって、日本で初めての設立された生命保険会社は明治生命(※現在の明治安田生命)です。

その後、2番目は1888年(明治21年)設立の帝国生命(現在の朝日生命)、3番目は翌年1889年(明治22年)には日本生命が設立されました。

どの会社も現在では社名は変わってますが、130年以上の歴史がある生命保険会社です。

ただ、当時はまだまだ一般の人が生命保険という制度を理解して加入することが簡単なことではありませんでした。そしてこの3社が業務拡張に努めた結果、各地の資産家たちが生命保険事業に注目し始めました。

そして、1894年(明治27年)の日清戦争や1904年(明治37年)の日露戦争を通じて、数多くの戦死者が出ましたが、これらの遺族に対して保険金を支払い、その結果、多くの人々に生命保険についての理解を得ることができました。

日露戦争後は一般の人々にも生命保険の必要性が徐々に認識され、新規加入者も順調に伸びていきました。

生命保険の秩序を保つため、生命保険会社談話会の設立と約款の制定

その後、明治27年~32年頃の間にが生命保険会社が各地に設立されるピークを迎えます。この間には40数社にも及びさらに類似事業も行われてきました。ただ、その多くが基礎を欠く事業であったり、無理矢理な募集であったため、当時の新聞では批判的な記事が多く記載されておりました。

このような中、生命保険事業の正しく発展させるために、また秩序を保つために1898年(明治31年)、現在の生命保険協会の前身にあたる、生命保険会社談話会が設立されました。

こうして様々な生命保険会社の設立があったため、各社の約款の統一が必要になってきます。そこで1900年(明治33年)に生命保険会社談話会では、最初の保険約款を制定しました。

約款とは

生命保険会社と契約者の間で取り交わすお互いの権利義務を規定しているものです。契約の範囲や条件などを正確にするために、とても多くの記載事項があり内容も詳細に書かれていて、法律用語も使われているため、難しくてボリュームがあります。

✔日本の生命保険の発端

■相互扶助の理念によって助け合うのが生命保険

■福沢諭吉の紹介が発端

■日本初の生命保険会社は明治生命(明治安田生命)、2番目は帝国生命(朝日生命)、3番目は日本生命

■1898年に生命保険会社談話会が設立された

世界の生命保険の歴史

保険の起源は古代オリエント時代

古代オリエント時代にはさまざまな交易が行われておりましたが、自然災害や盗賊や海賊に襲われるリスクなど、それは決して安全なものではありませんでした。こういったリスクに備えるため、資金の借り入れが行われていたと言われています。

この時代は人質なども絡んでいたため、今の保険とは程遠いものでしたが、それでも「保険の起源」となるものだと考えられます。

紀元前300年頃の保険は地中海貿易の商人

その後、紀元前300年頃には「冒険貸借」が登場します。これは地中海貿易の商人たちによるものでした。

船や積み荷の持ち主が金融業者からお金を借り入れて、船や積み荷にトラブルがなく交易を終えることができたなら利息を付けて返済、船や積み荷が無事でなければ返済は免除、といった現在の保険により近いものでした。

中世ヨーロッパの保険は「ギルド」によって

地中海ではその後も貿易の発展に伴って制度として成長しました。そして中世ヨーロッパにおける近代的保険制度は、日本にも伝わることとなりました。

中世ヨーロッパでは、商人たちは同業者組合である「ギルド」を作り、組合員の経済的マイナスを組合全体で分担しあっていました。

これを生命保険の起源とする説があります。

近代的な生命保険は17世紀のイギリスから

さらに、17世紀のイギリスでは、教会の牧師が組合を作り自分たちに万が一のことがあった場合に遺族へ生活資金を出すために保険料を出し合う制度をはじめました。

この制度では全員が同じ金額の保険料を支払いをしておりましたが、人の死亡率は年齢とともに上がります。若い人よりも年をとった人の方がお金をもらえる可能性が高く不公平だっため、ほどなく解散してしまいました。

その後、公平な保険料分担の方法が発見され、1762年に世界で初めて近代的な保険制度に基づく生命保険会社が設立されました。

✔世界の保険

■古代オリエント時代は資金の借り入れ

■紀元前300年頃は冒険賃借

■中世ヨーロッパではギルド

■17世紀イギリスでは牧師たちの保険

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