保険業法について

保険

生命保険会社は、大勢の契約者から保険料を集め、その共有の準備財産を管理し、運用しています。それは、国民経済や生活にとても多くの影響も及ぼすものとなっています。

そこで、国は生命保険事業を免許事業としたうえ、金融庁が監督や規制を行っています。そしてそこには「保険業法」というルールが存在しています。

保険業法とは

保険業法とは、保険事業が健全に運営されることにより契約者等を保護するための法律です。

生命保険募集人としての使命を十分に遂行し、正しい販売活動ができるように守るべきルールを定め、契約者等の保護を図っています。

募集とは

保険の勧誘や販売を意味します。簡単にいうと保険の営業のことです。「保険募集人」という場合は「保険代理店」とほぼ同じ意味です。

保険業法の内容についてまとめましのたでご説明していきます。

生命保険募集人とは

生命保険募集人とは、生命保険の募集(保険の勧誘や勧誘)をする人のことです。そして、保険募集人になるためには「一般課程試験」に合格する必要があり、合格後生命保険募集人登録が完了して者が保険募集をすることが出来るのです。

また生命保険募集人は、原則として複数の生命保険会社の募集を行うことはできません。2社以上の保険会社の商品を扱うことができると、保険会社からのインセンティブが高い方の保険商品をお勧めすることとなり、お客様が求める内容の保険を公平に判断できなくなるためです。

乗合募集とは

2社以上の保険募集を行うことです。契約者等の保護にかけるおそれがないものとして政令で定める場合については例外として認められています。銀行などでも生命保険は扱われており、複数の保険会社の商品を扱っています。これが乗合募集にあたります。

生命保険募集人の役割について、詳しくはこちら

生命保険募集人の権限

生命保険を募集するにあたり、生命保険募集人は「媒介」もしくは「代理」という権限があります。

「媒介」とは、生命保険の契約は生命保険会社の承諾が必要です。

「代理」とは、生命保険募集人の承諾すれば契約が成立します。

生命保険の基本ルール

保険募集の基本ルールとして「情報提供義務」と「意向把握・確認義務」があります。

「情報提供義務」とは、提案する保険商品について適切な情報提供を、書面を交付し説明する義務があります。

「意向把握・確認義務」とは、事前にお客様の意向を把握し、これに沿った商品の提示をするとともに、最終的にお客様の意向に合致しているかを書面等で確認することが必要です。

どちらも当たり前のことですが、強引な営業を無くすためのものです。

保険募集に関する禁止行為

保険の商品はとてもたくさんの種類があり、お客様が完全に把握してから契約するというのはかなり難しいことです。そのため生命保険募集人の説明とアドバイスが重要です。

それによって正しい判断をしてもらうために、保険業法では次の行為を禁止しています。

禁止事項1:虚偽の説明

事実と異なることを説明することです。

禁止事項2:「重要な事項」の不説明

「保険契約者または被保険者の判断に影響を及ぼすこととなる重要な事項」を説明しないことです。また、都合の良い部分のみを説明することなども含まれます。

禁止事項3:告知義務違反をすすめる行為

被保険者(or契約者)が生命保険会社に告知を行うにあたって、虚偽のことを告げるように勧めたり、事実を告げるのを妨げたり、事実を告げないように勧める行為です。

禁止事項4:不適切な乗換募集

現在加入している契約から新しい契約に乗り換える際に、不利益となることを伝えずに申し込みをさせたうえで、既契約を消滅させる行為です。

かんぽ生命の不適切契約問題

2019年の夏頃に浮き彫りになったかんぽ生命の不適切契約問題は、保険料の二重徴収や新契約が成り立たないうちに旧契約を解約させれた保険金が支払われなかったりと、これに該当します。

禁止事項5:特定の利益の提供

保険料の割引や金品などの提供をするような行為です。

禁止事項6:威迫、業務上の地位の不当利用

おどしたり、上下関係を不当に利用したりして申し込みをさせることです。

禁止事項7:誤解される恐れのある表示・説明

誤解させる恐れのある表示や説明をする行為です。

禁止事項8:断定的な予想配当の表示・説明

将来の配当金や変動する保険金など、確実でないことを確実であると誤解させるような説明をすることです。

禁止事項9:誹謗・中傷

他社の保険会社を陥れる目的で短所を不当に強調したりすることです。

適切な業務運営を確保するための体制整備義務

保険募集に関するルール遵守のために、保険会社の加えて保険募集人も自らその適切な募集業務について管理していく責任があります。

特に保険代理店においては業務の内容に応じた運営体制の整備が必要です。

違反行為と罰則

保険業法の中にあるルールに違反した場合は、内容によっては行政処分や司法処分を受けることになります。それに加え、所属する保険会社の社内規定によっても処分されることになります。

行政処分であれば、一定期間の募集業務の停止や、生命保険募集人登録の取り消し処分などです。
司法処分であれば、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金(またはその両方)などです。

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