今回は、メディアでもかなり話題になっている『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』をご紹介します。
ノンフィクション本屋大賞も受賞していて、これからこれから読もうと思っている人はこの記事を参考にしてみてください!
著者のブレイディみかこさんについて
1996年からイギリスのブライトンに在住し、ロンドンの日経企業で数年間勤務した後、イギリスで保育士資格を取得し、「最底辺保育所」で働きながらライター活動を開始。
保育士でライターで、コラムニスト、です。
2017年に新潮ドキュメント対象を受賞。その他著書多数あります。
作品の内容
主人公の「ぼく」は、アイルランド人の父と日本人の母を持ちます。そして「ぼく」はイギリスの元底辺中学校に通っています。
イギリスは「日の沈まない国」と呼ばれるほど世界中に植民地があったため、たくさんの国からの移民が暮らしています。
そんな中で起こる様々な日常を通し成長していく様子を、著者である母親目線で描かれているノンフィクションです。
作品タイトルの「イエロー」は黄色人種である日本人の母、「ホワイト」は白人であるアイルランド人の父のことですね。そこから生まれた「ぼく」の感情をブルーと表現しています。
イギリスは、日本では考えられないくらい様々な人種が住んでいます。
そんな中で生活するということは、自分以外の他者は自分が育った環境とは全く違った環境で育ってきているわけだから自分の中にはない考え方や価値観を持っています。
人種差別や貧困、ジェンダーやアイデンティティ。
自分が当たり前と思っていたことが他者にとっては当たり前でなかったり、それは、日本での当たり前・当たり前でないということをはるかに超えています。そんな環境に毎日いるわけですから嫌でも自分というアイデンティティを考えさせられます。
ただ、ノンフィクションでこういったテーマですが、全く堅苦しくなく、母親と「ぼく」のユーモラスな会話が楽しく、読みやすい文体です。
テーマは「多様性」
この作品のテーマは「多様性」です。
「多様性」とは、
多様性(たようせい)とは、幅広く性質の異なる群が存在すること。性質に類似性のある群が形成される点が特徴で、単純に「いろいろある」こととは異なる。
Wikipedia
人種差別的な発言を繰り返す友人とどう付き合っていけばよいのでしょうか。今にも擦り切れそうな制服を着ている友人に、どうしたら傷つけずに中古の制服を渡せるのでしょうか。
貧困や差別の裏側にある、それぞれの人々の環境や考え方をしっかりと、でもユニークに書かれています。
それを通して「ぼく」は母親であるブレイディみかこさん一緒に成長していきます。その成長過程がとても面白く描かれています。
自分が中学生のときはどうだったか、そして現在の自分の環境や考え方・アイデンティティを考えさせらる。
こんな人に読んでほしい
日本の中学・高校生
主人公の「ぼく」は中学生です。
ですので、今中学生や高校生の人たちは是非読んでみてください!
日本という国は、周りはほぼ日本人です。多少の違いはあれど、同じ環境で育ってきた人達の方が多いことでしょう。自分が生活している環境と比べながら読み進めると、自分の世界観や価値観が本当に当たり前のことなのか、きっと考えることになるでしょう。
今の自分の環境が当たり前ではない、というつもりはありませんし、それが正しい・間違っている、ということではありません。ただ、これから社会人に成長していくにつれ、今の自分の環境が全てではない、ということが頭の中で強くイメージできることでしょう。
それはきっと自分の価値観や考え方を大きく成長させてくれます。
子育て中のお母さん・お父さん
お子さんの教育について考えさせられると思います。お子さんと一緒に読んでもよいと思います。
これから日本はどんどん国際化が進み、イギリスほどではないにしろ、多様性社会となってきます。そんな中で、差別とはどういうことなのか、自分のアイデンティティとは何なのか、というのは必ず当たる壁になります。
それを子供のうちから考えさせることが出来れば、柔軟な思考を持っているお子さんであればきっとしっかりと考えてくれます。
その考え方はいずれ必ず役に立ちます。
20代・30代
社会人として様々な壁にぶつかっている頃の方だと思います。
もしかしたら多様性という壁にぶつかっている方もいるかもしれません。
今まで当たり前と思っていたことが、全く通じなくなった時、この本は何が当たり前なのかを気付かせてくれるかもしれません。
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